「医師がミュージアムを処方する」と聞くと、薬とは何が違うのか、どんな人が対象なのかが気になります。上野の美術館や動物園へ行くことが、どう認知症ケアにつながるのかも知りたいところです。
地域情報メディア『タイトウタイムズ』のエリア担当ライター、ハルです。わたしはこうした新しい取り組みを見ると、まず「誰が利用できて、どこへ行くのか」を見ます。今回は永寿総合病院の案内も含めて調べました。
今回は「文化的処方うえのび」について、対象となる人、通常の処方との違い、訪問先、認知症について相談したい場合の窓口まで紹介します。
文化的処方うえのびは医療と文化が連携
「文化的処方うえのび」は、医療機関と上野の美術館、博物館、動物園などが連携する取り組みです。ミュージアムでの鑑賞や動物の観察、ワークショップなどを通じて社会とつながる機会をつくります。
目的は作品を見ることだけではありません。外へ出たり、人と話したり、好きなものに触れたりする社会参加の機会をつくることが、この取り組みの大きな部分です。
うえのびは家族や地域の人も対象になる
永寿総合病院の案内では、認知症やMCIのある人だけでなく、その家族や地域の人も「うえのび」の対象とされています。MCIは「軽度認知障害」のことです。
一方、病院からミュージアム訪問を勧める取り組みについては、MCIや認知症初期の人が中心です。「うえのび全体の対象」と「病院から訪問を勧められる人」は、少し分けて考えると分かりやすくなります。
- MCI
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軽度認知障害のこと。認知症そのものではなく、正常な認知機能と認知症の中間にあたります。
- うえのびの対象
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認知症やMCIのある人、その家族、地域の人が対象として案内されています。
ミュージアム処方は薬の処方とは違う
名前に「処方」とありますが、薬を出す処方箋とは別のものです。東京都美術館の実践報告では、ミュージアム処方は制度上の医療行為ではなく、健康保険の対象でもないとされています。
病院から地域の文化施設へつなぎ、外出や社会参加のきっかけをつくる取り組みです。薬の代わりに美術館へ行く治療ではありません。
ハル「処方」と聞くと薬を思い浮かべますが意味は違うんですね
訪問先は上野公園の美術館や動物園
訪問先には、上野公園周辺の文化施設があります。国立西洋美術館、東京国立博物館、上野動物園、したまちミュージアム、東京都美術館、東京藝術大学大学美術館などです。
上野公園の中や周辺に施設が集まっているため、本人の興味に合わせて選びやすいのも特徴です。絵が好きな人と動物が好きな人では、行ってみたい場所も違いますよね。
- 国立西洋美術館
- 東京国立博物館
- 上野動物園
- 台東区立したまちミュージアム
- 東京都美術館
- 東京藝術大学大学美術館
行き先は本人の興味も大切にして決める
病院から訪問を勧められる場合も、一方的に行き先を決めるわけではありません。本人の趣味や普段の暮らしについて話を聞き、家族や医療スタッフと相談しながら訪れる施設を考えます。
わたしなら、せっかく出かけるなら自分の好きな場所を選べるかは気になります。昔よく行った場所や、もう一度見たいものがある施設なら、出かけてみようと思うきっかけにもなりそうです。
鑑賞のほか体験プログラムにも参加する
「うえのび」では、ミュージアムで作品を見るだけではありません。動物園での観察やワークショップなど、施設で用意された活動に参加する機会もあります。
本人だけでなく家族も対象に含まれているのは、この取り組みの特徴です。普段の介護する側、される側という関係から少し離れ、一緒に同じ体験を楽しむ時間にもなります。
ミュージアムだけで認知症が治るわけではない
ここは誤解したくないところです。ミュージアムへ行けば認知症が治るという取り組みではありません。診察や治療とは別に、外出や人との交流につながる機会として取り入れられています。
永寿総合病院の認知症疾患医療センターでは、初期対応や鑑別診断、治療、専門医療相談なども行っています。「うえのび」だけで認知症に対応するわけではありません。
認知症の相談は専門相談室で受けられる
永寿総合病院の認知症疾患医療センターには、無料の専門医療相談室があります。相談は平日の9時から12時、13時から16時までで、電話でも受け付けています。
面談を希望する場合は、事前に連絡して日時を決めます。本人のことだけでなく、家族が認知症について相談したい場合にも、まず窓口へ話してみることができます。
認知症について気になることがあれば、電話や事前予約した面談で相談できます。
診療予約には紹介状が必要なので、まずかかりつけ医へ相談します。
診療予約は患者本人ではなく、医療機関から地域医療連携センターへ連絡します。
気になったらうえのびの案内を見てみる
「うえのび」が気になったら、まず永寿総合病院の認知症疾患医療センターに掲載されている案内を見てみるとよさそうです。認知症の相談窓口についても同じページで分かります。




わたしも「認知症ケア」と「美術館」が一緒になるとは最初は思いませんでした。本人だけでなく家族や地域の人も対象だと知ると、この取り組みの見え方も少し変わります。
認知症について気になることがある方は、無理にミュージアムへ出かけるところから始める必要はありません。まず相談窓口を知り、そのうえで「うえのび」に興味があれば尋ねてみてはいかがでしょうか。













