公園は増えてもボール遊びはできない?子どもの「遊ぶ権利」と日本の現実|台東区でボール遊びしてもいい公園一覧

近所の公園で子どもがボールを蹴って遊ぶ。昔なら珍しくなかった光景ですが、今は「ボール遊び禁止」の看板を見かけることもあります。公園はあるのに、思い切り遊べる場所が見つからない。そんな状況が各地で課題になっています。

タイトウタイムズのナッシーです。調べてみると、子どもが遊ぶ権利は国連の「子どもの権利条約」にも明記されていました。ただし、だからといって、どの公園でも自由にサッカーや野球ができるという意味ではありません。安全や近隣への配慮と、子どもが遊べる環境をどう両立するのか。この問題を整理してみます。

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子どもが遊ぶ権利は国際条約に明記されている

国連の「児童の権利に関する条約」、一般にいう子どもの権利条約には、第31条で休息や余暇、遊び、レクリエーション活動を行う権利が定められています。日本は1994年にこの条約を批准しました。

ここでいう遊びは、スポーツだけを指すものではありません。友達と走り回る、自然に触れる、工作をする、自分で遊び方を考えるなど、子どもが自由に過ごす時間や活動も含まれます。遊びは単なる暇つぶしではなく、子どもの成長に関わる大切なものと考えられています。

ただし、第31条に「すべての公園でボール遊びを認めなければならない」と書かれているわけではありません。条約が認めているのは、子どもが遊びや余暇を享受する権利です。その権利を実際の暮らしの中でどう保障するかが、自治体や地域社会に問われています。

公園そのものは減っていない。それでも遊び場が足りない

「子どもの遊び場が減っている」と聞くと、公園自体が減少しているようにも思えます。しかし、国土交通省の統計を見ると、全国の都市公園等は2023年度末の115,327か所から、2024年度末には115,917か所へ増えています。

時点全国の都市公園等
2023年度末115,327か所
2024年度末115,917か所
前年度からの増減590か所増

この数字だけを見ると、公園が全国的に減っているとはいえません。問題は、公園があるかどうかと、そこで何をして遊べるかは別だということです。ボール遊びが禁止されていたり、自由に走り回れる広場がなかったりすれば、近くに公園があっても希望する遊びはできません。

都市化によって空き地や原っぱが少なくなったことも影響します。昔は家の近くの空き地で遊べたとしても、今は住宅や道路になっている場所もあります。公園の総数だけでは、子どもが日常的に使える遊び場が十分かどうかまでは分からないんですね。

ボール遊びができない公園はどのくらいあるのか

ボール遊びができる場所の少なさについては、2018年の公園利用調査を紹介したスポーツ施設関連の実証事業資料があります。そこでは、調査対象地域の公園のうち、野球やサッカーができない公園の割合が首都圏で100%、関西圏で62%、中京圏近郊の地方都市で22%と紹介されています。

ただし、これは2018年の調査に基づく数字で、全国すべての公園を調べた最新統計ではありません。「日本の公園の何%でボール遊びができない」と、そのまま全国の割合に置き換えることはできません。それでも、都市部ではボール遊びができる場所を確保しにくいという課題が以前から指摘されてきたことは分かります。

外遊びの時間にも世代間の違いが見られます。日本財団ジャーナルが紹介したPLAYTANKの2018年調査では、平日に2時間以上外で遊ぶと回答した割合は、子どもで9%、親世代で54%、シニア世代で82%でした。約300人を対象とした調査なので全国の子どもを代表する数字ではありませんが、外遊びの機会を考える材料にはなります。

なぜ公園ではボール遊びが禁止されるのか

公園でボール遊びを禁止する理由として挙げられるのは、けがや物損の防止、騒音、近隣住民への配慮などです。ボールが道路へ飛び出せば交通事故につながるおそれがありますし、遊具やベンチに当たれば、ほかの利用者が危険にさらされることもあります。

また、公園は子どもだけの場所ではありません。乳幼児を連れた親、高齢者、散歩をする人など、さまざまな人が利用します。狭い公園で強いボールを蹴ったり、遠くへ投げたりすれば、安心して過ごせない人が出てくるのも事実です。

一方で、事故を防ぐために一律の禁止を続けると、子どもが体を動かす機会まで失われる可能性があります。すべてのボール遊びが同じ危険性を持つわけではありません。柔らかいボールでのキャッチボールと、硬いボールを使った本格的な試合では、必要な広さや安全対策も違います。

遊ぶ権利があるなら、どこでもボール遊びできる?

ここは誤解しやすいところです。子どもの遊ぶ権利が条約に明記されているからといって、公園ごとの利用ルールを無視してよいわけではありません。ほかの利用者の安全や生活環境も大切で、遊び方によっては制限が必要になる場合があります。

ただし、禁止することだけで問題が解決するわけでもありません。子どもがボール遊びをしたいと望んでいるなら、どこなら安全にできるのか、時間帯や場所を区切れないか、防球ネットを設けられないかといった代替策を検討する余地があります。

子どもの権利条約には、自分に関係する事柄について意見を表明する権利も定められています。公園のルールを見直す際に、子どもたちがどんな遊びをしたいのか、どこに困っているのかを聞くことも、環境づくりの一つです。大人だけで決めず、子どもの声を取り入れる視点も必要ではないでしょうか。

台東区ではボール遊びができる公園もある

身近な例として、台東区の公園ルールを見てみます。区立公園や児童遊園では、原則としてボール遊びは禁止されています。ただし、小学生未満の子どもと保護者が柔らかいボールで遊ぶことは、周囲の迷惑にならない範囲で認められています。

また、ネットで囲われた「スポーツコーナー」がある公園では、ボール遊びができます。2026年10月23日時点で、台東区が案内しているのは次の7公園です。

ただし、スポーツコーナーでも場所の独占や近隣への迷惑となる行為はできません。公園によって独自のルールが設けられている場合もあるため、現地の看板を確認する必要があります。ボール遊びができる場所を探すときは、公園の名前だけで判断しない方がよさそうです。

禁止か自由かの二択ではなく、遊べる場所を増やす工夫を

ボール遊びができる場所を確保するために、自治体が工夫している例もあります。千代田区では、公園や区の施設などで時間と場所を限定した遊び場事業を実施。プレーリーダーが遊びを手伝ったり、道具を貸し出したりする取り組みも行っています。

ほかにも、学校の校庭を開放する、防球ネットで囲ったスペースを設ける、柔らかいボールなら利用できるようにするなど、方法はいくつもあります。大切なのは、事故や騒音への対策を考えながら、子どもが実際に遊べる選択肢を残すことです。

もちろん、地域の事情はそれぞれ違います。広い公園を確保できる場所もあれば、住宅が密集していて難しい地域もあります。それでも、禁止の看板を立てて終わりにするのではなく、子どもや保護者、近隣住民の意見を聞き、地域に合った方法を探ることはできるはずです。

子どもが遊ぶ権利は、国際条約に書かれているだけで自然に実現するものではありません。公園の数が増えていても、そこでできる遊びが限られていれば、子どもにとって十分な環境とはいえないでしょう。安全を守ることと、子どもがのびのび遊べる場所をつくること。その両方をどう実現するかが、これからの公園づくりに求められているのだと思います。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

ライター・(左から)ハル、ナッシー

台東区に暮らすハルです。地域情報メディア『タイトウタイムズ』で、地域の日常に役立つ情報をナッシーとともにお届けしています。

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