今もこの台東区では数多くの新築マンションが建っています。いったい誰が買っているのか不思議に思う方も沢山いらっしゃると思います。「あの価格だから外国人が購入しているんだ」とまことしやかに囁く人もいます。
地域情報メディア『タイトウタイムズ』のエリア担当ライター、ハルです。この新築マンション購入者について、本当に外国人が多いのかデータを基に解説したいと思います。
因みにわたしは割合を見るとき、まず「何を数えた数字なのか」を見ます。今回は国土交通省の調査から、台東区の数字、国外住所者の意味、台湾の割合、前年との違い、この統計だけでは分からないことまで見ていきます。
台東区の国外住所取得は5.4%
国土交通省の調査では、2025年1月から6月に台東区で保存登記された新築マンションのうち、国外に住所がある者による取得割合は5.4%でした。
同じ期間では東京都全体が3.0%、東京23区が3.5%です。台東区は5.4%なので、都全体や23区全体と比べると高めの数字でした。
| 地域 | 2025年1月~6月 |
|---|---|
| 東京都 | 3.0% |
| 東京23区 | 3.5% |
| 都心6区 | 7.5% |
| 台東区 | 5.4% |
5.4%は外国人比率ではない
ここで一度立ち止まりたいのが、「国外住所者」という言葉です。国土交通省は登記に記載された所有者の住所を見て、国内住所か国外住所かを分けています。
つまり、国籍を集計した数字ではありません。日本に住む外国籍の人は国内住所側になり、日本国籍でも海外に住所があれば国外住所側です。国外住所と国籍は別です。
- 台東区の5.4%
-
台東区の新築マンションで、登記上の住所が国外だった取得者の割合です。
- 外国人の購入割合
-
今回の調査は国籍を基準にしていないため、この数字だけでは分かりません。
台湾62%は東京23区全体の数字
もう一つ間違えやすいのが台湾の割合です。2025年1月から6月、東京23区で国外住所者による登記は約300件あり、その中では台湾の住所が最も多くなっています。
国交省資料では台湾192件、中国30件などで、台湾は全体の約62%です。台湾62%は台東区だけの数字ではありません。東京23区全体を集計した数字です。
ハル台東区5.4%と台湾62%は別の数字なんですね
台東区は前年1.9%から上昇
台東区は2024年の1.9%から、2025年1月から6月には5.4%へ上がりました。2018年から2023年までの最大値も1.6%だったため、今回の数字はかなり目につきます。
ただし、2025年は半年分の集計です。前年までの1年間の数字と同じ感覚で比べるより、「この半年に保存登記された物件では高かった」と読むほうが自然でしょう。
数字は年ごとに大きく変わりうる
国土交通省も、その年にどのようなマンションが供給されたかによって割合は大きく変わるとしています。新築マンションは毎年、同じ場所に同じ戸数が供給されるわけではありません。
台東区で5.4%になったのは事実です。ただ、この一度の数字だけを見て、今後も増え続けるとは言えません。次の調査でも同じ傾向になるのかは気になるところです。
- 2025年は1月から6月までの半年分
- 割合はその年の供給物件によって変わる
- 所有者の住所を基準にした調査
国内居住の外国人購入は含まれない
この調査で分かるのは、あくまで登記上の住所が国外かどうかです。日本国内に住む外国籍の人が新築マンションを取得しても、「国外住所者」には入りません。
国内にある外資系法人の取得も、住所が国内なら国外住所にはなりません。「外国人購入」と言い換えてしまうと、実際の調査より広い範囲を指しているように聞こえてしまいます。
価格上昇や空室までは分からない
5.4%という数字を見ると、台東区のマンション価格や空室への影響も気になります。ただ、今回の国交省調査では、国外住所者の取得が価格を押し上げたとは示されていません。
所有者の住所が国外でも、自分で使うのか、貸すのか、空室なのかまでは資料から分かりません。「国外住所だから住んでいない」と決めつけることもできません。
国外所有者の国内連絡先制度も始まった
国外に住所がある不動産所有者については、2024年4月から国内連絡先を登記事項とする仕組みも始まりました。連絡先になるのは、個人でも法人でも構いません。
一方で、制度が定着するまでの間は、国内連絡先がない旨の登記も認められています。国外所有者と連絡を取りやすくする制度ですが、必ず国内の連絡相手がいるわけではありません。
まず台東区で国外住所者の割合がどの程度だったかを見ます。
23区全体の3.5%と並べると、台東区がどのくらいなのか分かります。
約62%は台東区ではなく、東京23区全体の国・地域別集計です。
今後の制度変更
政府は正確な実態を把握するため、不動産の登記申請時に所有者の国籍の申し出・記入を義務化する方針で、関連法案の施行に向けた調整が進められています。
しかしこれが制度として発布され、しっかりとしたデータとなるにはまだまだ時間がかかります。
つまり、巷で言われる「ほとんどを外国人が購入しているんだ」という噂は、国の出したデータに則ってはいないものになります。
ただしこれを否定する事も逆に難しいというデータである事も事実です。日本に住所を持っている外国人が購入している可能性もあるからです。
今後、この法整備がしっかりとすれば、どの地域にどのような人が増えているのか、それによって住みやすさが変わるのか、何を求める人が多いのかなど、その地域の悩みを解消するための一つの情報が増える事は間違いないでしょう。
台東区で見るなら数字の範囲を知る
気になったら、国土交通省の資料で「台東区5.4%」と「東京23区3.5%」を並べて見てみてください。2025年上期の数字だということも一緒に分かります。
わたしも最初は「外国人の購入が5.4%」という意味に受け取りそうになりました。住所で分けた統計だと分かると、同じ5.4%でも印象はずいぶん違います。
台東区のマンション事情が気になる方は、5.4%という数字だけでなく、誰を数えた調査なのかまで一度見てみてはいかがでしょうか。次の調査が出たときにも比べやすくなります。













